フットボール マンション

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夏場には絶望の淵に立っていた2018シーズンを終え
長い長い灰色の日々が明けて
ようやく新しいシーズンがやってきた。

昨シーズン感じた絶望はチームの伸びしろが消えたことだ。
とてつもなく退屈でチャレンジもなく選手の成長も見込めない。

監督を代えようにも尹より優秀な監督は希少で。
非常に質の悪いサッカーを続けながら不協和音がどんどん増えていく。
それでも代えるべきだったと思う。
そして更新しないことが発表された時、サポーターからは批判が噴出した。

初タイトルを2つもくれた指揮官への愛情はわかる。
しかしピッチ上で起こっているのはディストピアで、これは別に批判を浴び続けた柿谷が作ったものではない。

個人的には賛成だった。後任を探す時間も出来た。
ロティーナの名前が上がり、味スタにも足を運んだ。
少なくとも終盤のセレッソの試合を見るのはただ苦しかった、そしてヴェルディのサッカーはとても楽しかった。

フロンターレ戦とレイソル戦は確認した。
この2試合についても言いたいことはあったが結局書ききれず。
マリノス戦は確認する気も起きず結局観なかった。ロティーナが次のシーズンで生み出す何かの方が遥かに大事で、マリノス戦は感傷の産物に過ぎない試合だったとすら思う。
尹は勝って、慕われた選手と笑顔で退任した。それでいい。
同じ相手とのホームゲームで、誤審で失った勝ち点3をきっちり得たのであればいいじゃないかと。
開幕戦で序盤のゴールを取り消され、終盤に値千金の同点ゴールを決めた柿谷の姿はそこにはいない。

前置きが長くなったが、2018年のサッカーは失望の塊だった。マンシャフトもセレッソも。
唯一乾と香川の代表でのプレーだけが楽しかった。
乾のミドルがクルトワを破った時叫んだのは俺だけじゃないだろう。

セレッソの去年のベストゲームはゼロックス。そんな馬鹿な話があるかと。

オフに大きく陣容が変わった。
ユース育ちの山口杉本は自分の求めるものの為にチームを去った。
山村はかつて選んでいたかもしれない2連覇中の最強クラブへ。
長年チームを支えた茂庭酒本や守備陣の貴重なバックアップだった田中裕介も下のカテゴリーにプレーの場を移した。

獲得した選手は皆一様に戦術理解度の高い選手だ。
都倉、奥埜、藤田、デサバト、ブルーノ。
山口、杉本がどちらも戦術遂行という面では難ありで、ロティーナのタスクをこなせるとは思えなかったこともあり、結果的にプラスだったと個人的に思っている。

迎えた開幕戦。対戦相手はヴィッセル神戸。
陣容はポドルスキ、イニエスタに加えビジャ、山口、西
個人的には西が非常に気になる。役割の遂行という面で彼より長けたSBはJにはいない。

試合前のスタメン。
3バック、ワイドに丸橋船木、ボランチにソウザ奥埜、柿谷ワントップ。シャドーは清武と水沼。
船木?
ほらースタメンみるだけでちょっと楽しそうじゃん。
控えはあらゆるシチュエーションに対応できそうな様々な駒が。
4バック変更も可。アンカー入りも可。パワープレーも可。サイドのドリブラーの駒もある。ジョーカーもいる。

相手はVIPが3トップで先発
序盤、ロティーナの仕込みが見えるボール運びからチャンスを作るもすぐに押し込まれ始める。
原因は偽9のイニエスタ。
両ワイドにはいつでもカットインからシュートを狙えるポルディとビジャ。
真ん中にはピッチのどこにでも数的優位を作りだす偽9。

セレッソは5-4ブロックの迎撃守備にシフト。
細かいライン調整はするが、右も左も2人がかりで抑え込まないと止まらないタレント。

ビジャの素晴らしさなんてのはここで語る必要もないだろうが、37歳の彼があれだけのキレを維持しているとは思いもよらなかった。
トラップの身体の運び方を見て正直脂汗が出た。アジリティが…。
確認したらMLSの4年間で3試合に2ゴールペースを維持してる相変わらずの化け物なので。
並みのチームは簡単にやられると思う。
ポルディやトーレスの比じゃないレベル。
軽やかにボールの上を飛んでるから。これで経験者なら多分伝わる。

守備に専念している山下を軽々とぶち壊していく。
サシじゃ無理。

それでも丁寧にラインを作り前半を耐えきった。
ソウザのところは何度か綻びが出来てたので、このやり方でソウザのボランチは穴を作る。一列上げたいが。
奥埜が要所で気の利いたプレーを見せる。
あと柿谷がたまにやるプレスバックが実に嫌らしいね。
あれでインターセプト数結構多いから意外と守備貢献もしてるんだけどそこの評価はあまりされない。
木本はポルディとのやり合いで一歩も引かず。
彼も今季のサッカーの軸の1人になるはず。

ヴィッセルではビジャ、イニエスタと共にやはり西が厄介。
実に頭が位置取りがずるいなぁ。

押し込まれてる左を押し返さないと中々苦しい。

後半、少しライン設定を上げているものの大きな展開は変わらず。
右サイドの船木水沼の関係が悪い。
水沼がワイドを遣えれば違うんだけど。去年からどうも直接中に入りたがるのがずっと難点。

後半20分最初の交代。
水沼→都倉
都倉頂点で柿谷を一列下げる。
更に5分後に清武→デサバト
この2つの交代が絶妙だった。

ベストだったのは一列下がった柿谷と一列上がったソウザの距離が近づいたことだ。
この2人はプレーイメージが共有出来ている。
ソウザが最もプレーしやすい選手に挙げるのが柿谷だというのは1つのポイント。

前線では都倉が身体を張ることで柿谷ソウザのスペースを空けた。
中盤ではデサバトは南米仕込みのマーキングでイニエスタを試合から消し始めた。

逆に神戸は古橋を入れたことで偽9による数的優位がなくなり網に頻繁にかかるようになる。
ここまでの交代が試合の流れを変えることに。

ここで輝きを取り戻した柿谷が2つの決定機を演出するが惜しくもゴールならず。
しかしソウザへのパスはビューティフル。

丸橋からのシンプルなロングボール。ソウザの中央でのドリブルからソウザ→柿谷→都倉→ソウザのコンビネーションからシュート。
多彩な攻撃を見せ、流れが変わったこの時間帯、このソウザのシュートで得たCKから待望の瞬間が訪れる。
丸橋の精度の高いキックから、木本のフリックに飛び込んだのは山下。
ビジャの相手で苦しんだ彼へのご褒美だったのかもしれない。
素晴らしいランニングからのヘディングでゴールをこじ開けた。

再びブロックを作る。
イニエスタを執拗に潰してバイタルから追い出すデサバト。
噂に違わぬいい選手だなと。
何故かファールを取られたポドルスキへのタックルも綺麗にボールにいってるし。

88分には柿谷→松田の交代。

シャドーの位置に松田。
これも非常に嫌らしい。馬力があってシュートが決して下手ではない松田はサイドの守備を助けながら前にも出ていく。

危なげなく時計を進め試合終了。開幕戦で大きな勝ち点3を獲得。

ロティーナ体制としてはチーム作りはまだ始まったばかりだが、手駒の多彩さと指揮官の采配の妙は1試合で十分見せたと思う。
別メニューが多かったデサバト、清武や直前のテストマッチを回避した柿谷もまずまず。
離脱中の高木やメンバー外の福満等もいるので、ロティーナイバン小寺体制で徐々に浸透することを期待する。
新戦力はどれも上々。
今回は出場がなかったブルーノ藤田がどうなるかは注視したいところ。

対するヴィッセルだが、ビジャは今もジョークラスのモンスターだと思い知らされた試合だった。
大怪我が無ければ15点ぐらいは…。
はっきり言って全く馬鹿に出来ないぐらい強いチーム。アンカーとCBに1枚ずつ優秀な選手が取れたらなぁ…。

最後に山口蛍について。
尹を慕う彼の心情は理解しよう。ただ、個人的にもう1年あのサッカーを続けることは御免蒙るというのが本音。
移籍を決断したことは本人の判断。ヴィッセルでいい選手になってくれればと思う。
十分な移籍金を残したのも確か。発言が余計だっただけの話で。
我々は残った選手を応援する。どんな事情があれど、ピッチ上で応援するチームの為にプレーできる選手をサポートするのがサポーターだろう。

ただ、よく挨拶に来てくれたと思う。同様のケースなら逃げる選手もいるだろう。
結果としてネガティブな2つのシーズンだったとはいえ、彼はうちの元キャプテンだったということだ。

度重なる離脱に苦しみ続ける今シーズン。
中断明けもシステムを変えながらなんとかやりくりを続けている。

様々な悪条件が重なり内容も乏しい試合が多い中、何故か順位表では上の方にいる不思議なシーズンだ。
今季のリーグの団子っぷりがその大きな要因ではあるのだが、対戦チームも順位程の強さは感じないだろう。

浦和戦を前に離脱者が一気に練習復帰。
柿谷、山村、ヤンドンヒョン…。彼らの復帰により今季初のベストメンバーでの試合を期待していたのだが…。
丸橋、山口が入れ替わるように離脱。
どちらも離脱者以上に代えの利かない選手であり、浦和戦ではその大きな穴を感じる内容となった。

一先ず新システムの解説から
中断後採用された新システムは3-4-2-1
このシステムがメインとなったのは乾香川の2009シーズン以来。
当時のチームは底に絶対的な司令塔のマルチネス。両翼に攻撃的な石神と酒本。
前線は2列目を活かすカイオを頂点に置き乾と香川の2枚看板。

現在のチームは中盤と最終ラインの構成が少し違う。
最前線はポストプレーヤーの杉本。2列目には柿谷清武の2枚看板(柿谷は離脱中だった為、主に高木が起用)。両翼に攻撃的な丸橋松田とここまでは同じような構成だが、中盤はボール奪取に長けたソウザと山口。当時は跳ね返すだけだったCBに組み立てをさせるオスマル木本の構成。
オスマルと木本の攻撃参加がこのシステムのミソだ。

清水戦の2点目が一番わかりやすいシーンだが、シャドーが空けたスペースにWBとボランチの間からCBが飛び込んでくる。これを捕まえるのが難しく、木本の折り返しの判断の良さもありという感じ。

さて、今日の試合の話に戻るわけだが、今回山口と丸橋が不在となって構造的な問題が発生している。
一番大きな問題は、左CBに入った山下と左WBに入った片山が組立が一切出来ないことだろう。
本来セレッソのビルドアップはここがメインになっている。

丸橋の離脱によって丸橋オスマルソウザのトライアングルで行っているビルドアップが一切出来ない。柿谷が復帰したにも関わらず、ソウザ丸橋柿谷のトライアングルという去年からの形も使えない。
更に指揮官が山口の代わりにオスマルをボランチに上げる選択を行った為、高い位置を取れる木本と取れない山下によって左右の押し上げのバランスが崩れた。
2人の離脱に伴い左の組み立てを切り捨てる判断をしたのかもしれないが…。

片山は内側にボールを置き数度引っ掛けてカウンターを浴びている。
逆脚なのはわかるがアウトサイドにボールを置けないとWBは厳しい。

試合展開としては前半8分にファブリシオが筋肉系のトラブルで交代。
試合時間の変更もあり難しかった部分もあるのだろうか。
しかしこの交代はセレッソにとってはネガティブなものだった。
対人に強いCB3枚+ソウザオスマルを考えればファブリシオは今のフォーメーションではやりやすいタイプだったが、隙間を狙ってくる李はかなり嫌らしい相手。
そしてまさに4分後にその李のゴールで失点。

敵ながら見事なカウンターで正直お手上げ。

それでも早めの時間に追い付く。
ソウザがFKを左サイドに展開すると片山のクロスから。
木本の競り合いの零れ球、杉本のシュートをオスマルが押し込んで同点。
オスマルは初ゴール。

同点で折り返すと、後半8分に逆転。
オスマルからの長いフィードを杉本がコントロールすると、上がってきた木本がサポートに入りソウザに落とす。
ワンフェイクから得意のミドルはマウリシオの軽い対応もありゴール左隅に突き刺さった。
木本ソウザのラインからのゴールというのが今のシステムのポイントだろうか。

ソウザのミドルに関しては普段は相手も警戒して枚数をかけて止めにくることが多いが、ここまで無警戒に蹴らせたらそりゃ入るだろうと。彼のミドルの速度と精度を考えれば年一偶然の事故見たいなミドルとは勝手が違うわけで。運が悪いとかそういう距離でもない。
レイソル戦ぐらい距離があれば事故と言えるだろうけど。

試合はこのまま2-1で勝利。
もう少し点が取れた試合だったし取られた可能性のある試合だった。
左サイドの問題もさることながら、今の最大の問題は杉本の状態。

正直完全にイップス。フリーでどれだけ打ち上げる気なのかと。
シュートシーンになると力入り過ぎ。見ていて決まる気がしない。
今日は興梠もお付き合いしてくれたけども、杉本が去年並みのペースで点取れてるなら勝ち点10は違うわけで。
代表で変化があるといいんだけどね、今のところ代表に相応しいプレーはしていない。
勿論ゴール以外の部分での貢献は否定するつもりはないし、セレッソで先発する資格は十分にあるが。

1か月半続いた地獄の12連戦が終わって9月に入り、ここから日程的にも気候的にもかなり楽になってくる。
復帰した柿谷の動きはよく、稼働時間も増えてくるはず。
山口は不明だが、丸橋は体調不良なので次節には戻ってくるだろう。
あとはストライカーの調子が上がってくれば。今日もあと2本仕留めて快勝に出来た試合だったわけで。

上位陣との試合は残り少ない。トップハーフで残しているのはフロンターレとFC、アントラーズの3チームだけ。優勝は厳しいがルヴァンと3位以内は十分狙える位置にいるだけに、1つでも多く勝って上位を伺いたいところ。


先日浦和レッズの槙野選手のツイートが大きな話題になりました。
当該ツイートは既に削除されておりますが、簡単に言えば判定に対する不満を動画付きでUPしサポに問う内容でした。

まず判定について個人的な見解から
該当の試合は事後確認になったものの動画を見た時の感想は、「ファールだなぁ」というもの。

ガイドラインでは「コーナーキック時に」「ゴールキーパーの動きを」不正な方法で妨げた場合はファールを取るとなっております。
接触の激しさに関わらずコーナーキックでGKのバランスを崩す行為があった場合はファールということです。ジャッジに不当な部分は見当たりません。

批判について
・副審は最初はオフサイドのつもりで上げて誤魔化す為にオフサイドにしたのではないか
これはありえません。現地動画より副審は上げるときにフラッグを左手に持ち替えております。
この場合はオフェンスのファールのジャッジ。オフサイドならそのまま右手でフラッグを上げるシーンです。主審の対応は直接フリーキックを示している為、2人とも初動でファールと認識していることになります。

・副審のフラッグを上げるタイミングが遅いのではないか
これについては副審はどちらの利益になるかを見極めた上で旗を上げるという基準があります。
例えば権田が倒れたとしてもDFの跳ね返しからカウンターになれば止めた場合には明確に不利益になるわけで。鳥栖に利益にならないと判断してから上げる必要があるわけです。
結果は見ての通り。鳥栖にとって利益にならない状況になった為、上げた。これもガイドライン通りの振る舞いですね。

・鳥栖の得点シーンもファールではないか
そもそも全く別の話なので触れる必要もないのですが、確認したところGKとの接触ではありませんでした。その為、上記とは完全に別の基準で話す必要が出るでしょう。
該当シーンについてファールと取るかどうかは審判の裁量です。
ファールにする審判もいるでしょう。
ただ、前半28分の高橋選手を掴み倒したシーンを目の前で流していることを考えるとフィールドプレーヤー同士のコンタクトについてはかなり流す方に基準が取られています。
上記のシーンをファールとする場合基準を揃えるのであれば、28分の掴み倒したシーンについてはPKになるだろうと。
基準はブレていないというのが見た側としての感想です。

今回の問題で浦和側の不満が大きいのは前節の今村主審の問題が大きいのだと思います。
今村主審はCKをほぼ止めており、それに対して今節は(フィールドプレイヤーについては)流す審判だった。基準の落差が激しく不信感が募っていた部分であったことが大きいと思います。
尤も、高橋選手が掴み倒された段階でPKを与えられてもやはり批判はされたでしょう。どっちに転んでも正当性を欠いているとは言えないシーンではありますが。


さて、本題はここからです。
私個人は槙野選手にそれほど批判的な感情はないのですが、今回のケースは話が別です。
SNSで審判の判定をサポーターに投げかける行為というのは選手として明らかに取るべきではない行為です。
試合中に熱くなることはあるでしょう。揉めるのもわかります。
終了直後に審判と話をする。これも問題とは思いません。

しかし彼の行為は審判団を無視して自らのサポーターに裁量を求めたわけです。
これはリスペクトを欠いている以上に、今後の試合運営に支障をきたしかねない行為です。

そもそもSNSでの彼のフォロワーの大半は彼の賛同者です。今回のケースで言えば浦和サポーターが多いわけで、不利な判定を受けたサポーターを煽り審判への批判に油を注いだわけです。

正直これについては罰則を定めるべきというのが個人的な意見です。
今回どうするかというのは別としても、試合の度に各試合で不服な判定を選手が動画で上げ始めたら収拾がつきません。サポーターがやるのとは次元の違う話です。

余談ですが、Jリーグは今季こんな動画を上げています。

リーグとしても誤審を含めて認めて公表していこうという姿勢を出しております。
開幕戦から勝ち点を大きく左右する誤審があったりするわけで勿論審判の質の向上は必要でしょうが、その為の取り組みを色々と行っているのも確か。

そういった中で槙野選手の行為は想像力が欠けていると言わざるを得ない。
仮にジャッジがミスであったとしても許される行いではありません。
むしろ多くの人がファールと取れるシーンだったのが幸いなくらいでしょうか。

本当にはっきりと誤審だったとしたら騒動はこのレベルじゃ済まなかったかもしれません。
選手のSNS利用についての教育は協会側ももう一歩踏み込む必要がある時期になったのだと思います。

日本代表について書いたところで、今回は避けられないドイツについてのお話。

正直GLから毎試合書くつもりだった。
前回同様にそれはもう丁寧に。
私生活の忙しさはあれど結局書かずに終わった原因はとても書く気になれないフットボールを見せられたからという以外に答えようがない。

とても見返す気にはなれない3試合だが、簡潔に。
まずメキシコ戦で露呈した問題について。

このチームの構造的な欠陥は2016から変わっていない。

守備面に於いては、クロースとケディラの裏。ウイングの如く上がる両サイドの背後。
これが同時に発生することがわかりやすく致命的な欠陥の1つ。
攻撃面に於いては、前に人数をかけることによってスペースを必要とするプレーヤーが圧死すること。
そんな状況でのヴェルナ―とドラクスラーの同時起用は網にかかる海老のようなもの。

メキシコ戦においては、ヘクターが起用できずプラッテンハルトになったことも更に状況を悪くした。
明らかにヘクター程信用されていない様子が見て取れた。実際効果的なプレーは殆ど出来ず。

それぞれの問題についてレ―ヴは第2戦で一応解決を試みた。
ルディとロイスの起用。そして後半頭からのゴメス投入。
ルディは不運にも負傷退場。ギュンドアンに変更せざるを得ず、2センターの裏の問題は外的要因にて解決不可能に。
ゴメス投入でヴェルナ―を押し出す形はメンバー内では妥当な策だったと思う。
解決不可能になったカウンターに怯えながらも後半開始直後に追い付き、その後押し込むことに成功。
ただここでボアテングが致命的なミスを犯し退場。
攻守両面で彼の欠場は3戦目に大きな影を落とすことに。

いずれにせよ勝たねば事実上の敗退が決まるこの試合、1人少ないながらクロースの神業でどうにか勝ち点3を捥ぎ取った。

さて3試合目。レ―ヴが並べたのは明後日の方向を向いたメンバーだった。
何故かサイドのゴレツカ。不安定だったエジルがトップ下。一番前にはヴェルナ―。
再びクロースとケディラのコンビ。
ボアテングのいない状況で致命的な大穴を全開。

やべえ…と思った人は多いだろう。
結果は御覧の通り。これ以上語りたくもないというのが正直なところ。

2006年以降のレ―ヴのサッカーを見てきた中で一番気になるところが1つ。
「テンポフットボールどこへ消えた」
これ。

EURO2016では既に消えていた。
W杯2014にはあった。

今大会のドイツの攻撃は相手が引くのを待ってからよし崩すぞというプレーばかり。
相手の戻りが速いのは勿論だろうが。
重心を下げボールを渡すという戦略が以前は出来て今回は出来なくなっていた。

ヴェルナ―が活きるのはそういうチームだったはず。
そして奇しくもコンフェデを獲ったチームにはそれが出来ていた。

2016EUROでは出来ていない。
2017コンフェデでは出来ていた。
2018W杯では出来なかった。

押し込むパターンならヴァーグナーは必要だった。
また、ルディの負傷が痛かったとはいえ、もう1人守備的なボランチは必要だっただろう。

有り得ない話だがシュティンドルとマイヤーがいればなぁとか考えてしまった。
必要ポイントとはずれるけども。
あと本職右サイドバックは必要かもしれない。
キミッヒのビルドアップの能力は素晴らしい。
ただ、守備の選手としてはラームと比較するのもおこがましいレベルだろう。

様々な課題を放置し理想を追求して殴り続ければ勝てると思っていたレ―ヴは大きすぎるしっぺ返しを食らった。3チームとも肉を切らせて骨を断つかのごとく、攻撃を浴びながらも致命傷を避けてドイツに致命傷を与えた。

史上初のグループステージ敗退。
戦後ドイツがベスト8以下で消えたことは無く、この結果はフットボール史における大スキャンダルである。結果だけを見ればW杯史上最悪のドイツ代表が今回のチームだったということになる。

W杯に於いて理想に殉じて死ぬほど下らないことはない。「俺達のサッカー」の末路はここにあった。

大会後の体制がどうなるのかはわからない。
個人的には体制ではなく思想の問題だろう。

コンフェデ王者、U-21 EURO王者の若手選手を多数抱えたこの国がこの後どこに向かうか。
それは今後のドイツ代表コーチ陣の思想に掛かっている。

皆さんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

前回の記事の通り私は現在の日本代表の評価及び、監督・会長の判断の評価は結果のみで行うと発言しておりました。
そして判断基準はGLを突破するか否かでのみ行うとしております。
結論から言います。今回の監督交代は成功だったと。

未だ止まぬ協会や選手達への批判は、個々の感情に過ぎないので好きにすればいいと思う。
ハリル監督を続けていたらどうだったのか。これは無意味な議論に過ぎない。
あくまで田嶋会長は「GL突破の確率を上げる為に指揮官を交代させた」
結果としてGLを突破した。

監督交代の目的自体は完遂された。
これが現実。

ハリル監督だったら誰が呼ばれただとか、ハリル監督でも突破したかどうかとか。
ハリル監督だったらベルギーorイングランドに勝てただとか各々持論を述べるのは自由だが確認の方法はない。

監督交代を機に協会批判を強めて日本の試合なんて見ないと言いだした多数の自称サッカーフリークや3連敗は確実だと言い切って批判する準備をしていた人間にとって今回の結果は歯軋りしたくなるのかもしれないし、引っ込みがつかずにあの手この手で攻撃したくなる気持ちも分からなくないが。

それとは別にこんな意見をよく目にする。
西野監督で勝っても未来に繋がらない。将来の為にハリル監督で行くべきだった。
これがよくわからない。

そもそも勝とうが負けようがブツ切り4年で終了の現行のやり方で、長くともW杯終了までで終わったハリル体制が3ヶ月伸びたらどう将来に繋がるのか。
これは元々の協会の体制の問題でもあり、今回の短期的な判断とは別の問題である。

尤も日本に腕のある外国人監督が4年以上のスパンで来てくれるのかどうかは正直わからない。
継続性だの将来への財産だのを語れるような権限は少なくとも今の代表監督には与えられていない。どう転んだってあと3ヶ月でサヨナラ。
8月以降の新監督は全く別の代表を作るだけのことだ。

そもそも裁判結果も出てなかったアギーレを追い出した時点で継続性という観点で言えばブラジル→ロシアとしての今の代表は正当性をとっくに失ってる。
ハリルもまた緊急で代打として呼ばれていたことを大半の人間は忘れているのかもしれない。


同時に選手批判の声も強くなっている。
クーデターだ何だと正直下らない。

選手はそれぞれの立場で意見を言うものだ。
そしてピッチ上での決断は監督が下し、体制については協会が下す。
協会が下した判断で選手が批判されるのはおかしな話だろう。
監督が変わった結果状況が良くなる選手も悪くなる選手も居て当然。
そういったプラスとマイナスの中で最終的に結果が出るかどうか。
ただそれだけのこと。

今大会の選手の評価は今大会のピッチ上のプレーで行われるべきだろう。

更にもう1つ、今の日本代表は4年後の日本代表の為のものではないということを理解するべきだ。
今選ばれてる選手は目の前の大会に勝つ為にやっている。
4年後勝つ為の実験台になる為に試合をしているわけじゃない。
次の為に○○を入れるべきなんてのは目の前の大会に掛けている人間に礼を欠いている。

中島、堂安、久保らが外れたことをクローズアップする声もあるが、彼らの誰がスペインで2年ポジションを守り、ドイツでCLに継続的に出るクラブで主力として活躍したのだろうか。
或いはオランダで3試合1ゴール以上のペースで活躍していたハーフナーマイクを呼ぶべきだと彼らは叫んだだろうか。代表選考に於いて西野監督の選択は最大公約数的なものだった。
特に激戦区の2列目についてはトップリーグを理解している人間のみの選出。

結果として今の代表は日韓・南アに並び歴代最高記録のベスト16に立った。

ここから先どうなるかはわからない。
既に行われたベスト16の2試合は皆モンスターに見えるレベルだった。
そしてベルギーもそこに引けを取らないチームだ。

どう転んだとしても応援ぐらいはしてやりましょうや。
今彼らを批判したってマイナスにしかならない。

そもそもスポーツの人気が一時の空気に左右されてしまうこの国で、結果を無視した批判を繰り返すことは監督交代より遥かに凶悪な形で日本サッカーの死に繋がる。
Jリーグという足場が出来たことでそう簡単に終わることはないだろうが…。
Jリーグ以前の日本を生きた人々にとって、それはきっととてつもなく恐ろしいことなんじゃないかと私は思う。

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