日本代表について書いたところで、今回は避けられないドイツについてのお話。

正直GLから毎試合書くつもりだった。
前回同様にそれはもう丁寧に。
私生活の忙しさはあれど結局書かずに終わった原因はとても書く気になれないフットボールを見せられたからという以外に答えようがない。

とても見返す気にはなれない3試合だが、簡潔に。
まずメキシコ戦で露呈した問題について。

このチームの構造的な欠陥は2016から変わっていない。

守備面に於いては、クロースとケディラの裏。ウイングの如く上がる両サイドの背後。
これが同時に発生することがわかりやすく致命的な欠陥の1つ。
攻撃面に於いては、前に人数をかけることによってスペースを必要とするプレーヤーが圧死すること。
そんな状況でのヴェルナ―とドラクスラーの同時起用は網にかかる海老のようなもの。

メキシコ戦においては、ヘクターが起用できずプラッテンハルトになったことも更に状況を悪くした。
明らかにヘクター程信用されていない様子が見て取れた。実際効果的なプレーは殆ど出来ず。

それぞれの問題についてレ―ヴは第2戦で一応解決を試みた。
ルディとロイスの起用。そして後半頭からのゴメス投入。
ルディは不運にも負傷退場。ギュンドアンに変更せざるを得ず、2センターの裏の問題は外的要因にて解決不可能に。
ゴメス投入でヴェルナ―を押し出す形はメンバー内では妥当な策だったと思う。
解決不可能になったカウンターに怯えながらも後半開始直後に追い付き、その後押し込むことに成功。
ただここでボアテングが致命的なミスを犯し退場。
攻守両面で彼の欠場は3戦目に大きな影を落とすことに。

いずれにせよ勝たねば事実上の敗退が決まるこの試合、1人少ないながらクロースの神業でどうにか勝ち点3を捥ぎ取った。

さて3試合目。レ―ヴが並べたのは明後日の方向を向いたメンバーだった。
何故かサイドのゴレツカ。不安定だったエジルがトップ下。一番前にはヴェルナ―。
再びクロースとケディラのコンビ。
ボアテングのいない状況で致命的な大穴を全開。

やべえ…と思った人は多いだろう。
結果は御覧の通り。これ以上語りたくもないというのが正直なところ。

2006年以降のレ―ヴのサッカーを見てきた中で一番気になるところが1つ。
「テンポフットボールどこへ消えた」
これ。

EURO2016では既に消えていた。
W杯2014にはあった。

今大会のドイツの攻撃は相手が引くのを待ってからよし崩すぞというプレーばかり。
相手の戻りが速いのは勿論だろうが。
重心を下げボールを渡すという戦略が以前は出来て今回は出来なくなっていた。

ヴェルナ―が活きるのはそういうチームだったはず。
そして奇しくもコンフェデを獲ったチームにはそれが出来ていた。

2016EUROでは出来ていない。
2017コンフェデでは出来ていた。
2018W杯では出来なかった。

押し込むパターンならヴァーグナーは必要だった。
また、ルディの負傷が痛かったとはいえ、もう1人守備的なボランチは必要だっただろう。

有り得ない話だがシュティンドルとマイヤーがいればなぁとか考えてしまった。
必要ポイントとはずれるけども。
あと本職右サイドバックは必要かもしれない。
キミッヒのビルドアップの能力は素晴らしい。
ただ、守備の選手としてはラームと比較するのもおこがましいレベルだろう。

様々な課題を放置し理想を追求して殴り続ければ勝てると思っていたレ―ヴは大きすぎるしっぺ返しを食らった。3チームとも肉を切らせて骨を断つかのごとく、攻撃を浴びながらも致命傷を避けてドイツに致命傷を与えた。

史上初のグループステージ敗退。
戦後ドイツがベスト8以下で消えたことは無く、この結果はフットボール史における大スキャンダルである。結果だけを見ればW杯史上最悪のドイツ代表が今回のチームだったということになる。

W杯に於いて理想に殉じて死ぬほど下らないことはない。「俺達のサッカー」の末路はここにあった。

大会後の体制がどうなるのかはわからない。
個人的には体制ではなく思想の問題だろう。

コンフェデ王者、U-21 EURO王者の若手選手を多数抱えたこの国がこの後どこに向かうか。
それは今後のドイツ代表コーチ陣の思想に掛かっている。