試合毎にレビューをしてきたドイツ代表の総評に入りたいと思います。
各試合についてはリンクより。

GL 
ポルトガル戦 
ガーナ戦 
アメリカ戦
決勝トーナメント
アルジェリア戦 
フランス戦
ブラジル戦
アルゼンチン戦

さて、今回は各選手毎の評価をメインに行いたいと思います。

GK
ノイアー 全7試合フル出場。8.0
絶対的な守護神であると同時に高いラインの裏の広範囲をカバーするスイーパーとしても存在感を見せつけた。
パスの数、成功率ともにGKとしては異常な数値を見せている。
「戦術的に」大きな意味を持つここまで能力の高いGKは未だかつて居なかったのではないか。
攻撃への貢献度も考えれば歴史に名を残すGKであることは間違いない。

ヴァイデンフェラー、ツィーラー 出場機会なし。判定不可。
ヴァイデンフェラーの参加が特にドルトムント組に与えた精神的な影響は大きい。
それだけでなく、もしノイアーにアクシデントがあればこれほど頼りになる2番手もいるまい。
ツィーラーはEUROから連続での参加。
ノイアー後を考えるにはちと歳が近すぎるか…。

DF
フンメルス  6試合スタメン出場。7.5
怪我や風邪等でのアクシデントがありつつも、DFラインをコントロールしゲームを組み立てられるCBとしてチームに貢献。不在だったアルジェリア戦での混乱を考えれば彼が如何に大きな存在だったかが見て取れる。
セットプレーからの得点や、要所で入る楔のパスなど攻撃面での貢献度も高い。
「強いドイツ」の歴史に必ず現れる攻撃に機能するDFがようやく久しぶりに現れた。

ボアテング 7試合スタメン出場。7.0
右サイドバックで3試合、左CBで1試合、 右CBで3試合。
試合によってポジションが変わりながらも常に一定水準の強さを発揮。
決勝では明らかに疲れていたフンメルスの横で身体を張り続け、アルゼンチン攻撃を跳ね返し続けMOMクラスの活躍を見せる。悪癖だったポカもこの大会では全く見せず、特に対人で強さを見せた。
交代で入ったアグエロのドリブルをあっさり止め、(本調子ではないとはいえ)ロナウドに仕事をさせないなど相手の個の強さに対して特に力を発揮した。
 
ヘーベデス  7試合フル出場。6.0
適任が見つからなかった左サイドを慣れないながらも最後まで務め切った。
なんとフル出場はノイアーラームとヘーベデスの3人のみ。
所々怪しいシーンも見られたが試合が進むごとに少しずつ改善を見せた。
身体を張ったプレーやゴール前までの攻撃参加等、技術の高い選手揃いのこのチームにあって決して上手い選手ではなかったが最後まで走り切った。

メルテザッカー 4試合スタメン出場。2試合交代出場。6.5
大会中に100キャップを超え、CBとしては歴代トップのユルゲン コーラーにあと1キャップに迫る104キャップに到達。まだ20代のこの偉大なベテランのフォアザチームの精神はドイツ代表を大いに助けた。
出場時はリスクを避けた堅実なプレーを見せ、また組み立てに積極的に参加していた。
戦術的理由によりフランス戦より控えに回ったが、チームの為に出来ることをやるという彼の姿勢は評価されるべきものであった。

ムスタフィ 1試合スタメン出場。2試合交代出場。5.0
ロイスの代わりに急遽メンバー入りして3試合に出場。アルジェリア戦の負傷以後は出場出来ず。
レーヴが用意した悪い意味でのサプライズ。
そもそもこの選手はこの代表に相応しいレベルの選手だっただろうか…。 
そもそも代表キャップ1の選手を代役に呼んだ理由は最後までわからず。
比較対象が世界最高の名手ラームと既にワールドクラスの選手となったボアテングなのは確かに酷だが3試合の出場で納得のいくプレーは見られず。ガーナ戦ではポジション取りが悪く同点ゴールを許した。

ラーム 7試合フル出場。7.5
MFと迷ったがやはり彼はここ。
3人の全試合フル出場の1人。中盤の底でもGood Playerだったがアルジェリア戦の終盤以降サイドバックに戻ってからは世界最高のSBであることを証明するプレーを見せた。
ブラジル戦では対面のマルセロを手玉に取り、決勝でも度々攻撃の起点となる。
パス本数ではクロースに次ぐ2番目の数字を出した。
キャプテンとしてCLとW杯の両方を掲げる。

ギンター、グロスクロイツ、ドゥルム 出場機会なし。判定不可。
今夏の移籍が決まったギンターを含めたドルトムント3人は出番なし。
左サイドバックにヘーベデスが入ったことでそこの出場機会がなく、チャンスは最後までなかった。
まだまだ若いこの3人には次の大会までに納得のいくパフォーマンスを見せて戦力となって欲しいところ。
 
MF
クロース  7試合スタメン出場。8.0
大会の全選手中最も多くのパスを通し、そして重要な得点に繋がる多数のセットプレーを演出した。
ポルトガル戦2点目、ガーナ戦同点弾、フランス戦先制弾、ブラジル戦先制弾。
これだけのゴールが彼のセットプレーから生まれている。
決勝でもヘーベデスのポスト直撃のヘディングを演出した等、セットプレーを1つの鍵に挙げたドイツの戦いにおいて、最も重要な働きをした選手と言える。
勿論組み立ての起点として大きなサイドチェンジを度々見せ、或いはゴール前に飛び出してチャンスを伺った。
ブラジル戦では2ゴールで歴史的な大勝の立役者となる。

シュバインシュタイガー  5試合スタメン出場。1試合途中出場。7.0
組み立ての能力ではクロースやラームに劣るが劣勢であるほど力を発揮する影のキャプテン。
怪我明けで開幕には間に合わなかったものの徐々にコンディションを戻し3試合目より先発。
ラームが右に戻ってからはアンカーとして身体を張り続けた。
バイタルへの侵入を許さない巧みなポジショニングと身体を張ったタックルで相手の攻撃を止め続け、不安のあった守備陣をサポートし、強固なブロックを作る。
決勝ではマスチェラーノとビリアにタックルを浴び、アグエロに殴られ血を流しながらも最後までピッチで走り続けた。

ケディラ 4試合スタメン出場。1試合途中出場。6.5
直前の怪我で決勝に立てなかったがCLに続きW杯を獲得。
出場すれば重要な仕事をやってのけ、クロースシュバインシュタイガーとの3センターはこのチームの最適解となる。
中盤では崩しの途中で変化をつけ、最後の局面ではゴール前にまで顔を出すなどマドリーでのプレーとは全く違う姿を見せた。
不在だった決勝でその存在の大きさを証明したのは皮肉だったが。

クラマー 1試合スタメン出場。2試合途中出場。評価不可
2試合はロスタイムの時間稼ぎに、最後は決勝にてケディラの代役として出場。
しかし序盤の接触プレーで脳震盪を起こし、そのまま15分近くプレーするも31分に交代。
本人はプレー中の記憶がないとの証言。ボールに関与したプレーが少なく評価不可。 
アルゼンチン戦はケディラの不在を感じさせる内容だった。
本来体力自慢の選手であり、そんな彼を終盤の時間稼ぎに使ったのは長身の為だろうか。
殆ど代表経験がないまま急に決勝に出ることになったのはチームマネジメントの部分で問題があった印象。

エジル  7試合スタメン出場。6.5
大会全体で納得が行くプレーを見せたかと言えばそうではなかった。
しかし、要所で得点に絡んでおり、決勝では好機を演出するプレーをしていたのは確か。 
センセーショナルな4年前のプレーに比べキレが落ちた印象を覚えるがそれでも一瞬の閃きはチームでも随一。
CLの後遺症がまだ治っていないようにも見える。 
次のEUROではまた光るプレーを期待したい。

ゲッツェ 3試合スタメン出場。3試合途中出場。6.5
初戦のPK獲得、ガーナ戦の先制弾。 部分部分で結果は出していた。
しかし効果的な仕事は出来ず。クローゼと変わるようにスタメンから姿を消し、シュールレと共にジョーカーとして起用されることに。
ミネイロンのパーティには参加できなかったが、その瞬間以外はほぼ消えていたマラカナンで唯一のゴールを挙げる。大会の締めに相応しい美しいゴールを決め、才能の一端を見せた。
 
ミュラー 7試合スタメン出場。7.5
大会中最も走った男は2大会連続の5ゴール。24歳にしてW杯通算ゴール数を2桁に乗せた。
常に激しいマークを受けながらもアシストでもチームに貢献。
ガーナ戦のゲッツェのゴールやアルジェリア戦とブラジル戦で見せたシュールレの見事な2つのゴールを演出しただけでなく、クローゼに最多得点記録を更新させた。
常に効果的なランニングを行いチャンスを引き出す。4年前より自信を持ち、チームメイトに要求する姿勢を見せる。

シュールレ 6試合途中出場。7.0
W杯史上最強のジョーカーは全て途中出場。
特に決勝トーナメントに入ってからの働きは切り札に相応しいものである。
耐えに耐えたアルジェリアを突き落とし、既に惨状を晒していたブラジルを血祭りに上げ、決勝ではここまで完璧な働きをしていたマスチェラーノとサバレタの2人の守護者のプレッシャーを掻い潜ってゲッツェへの完璧なクロスを上げる。
フランス戦では試合を決めきれなかったが、試合に途中から入ってここまでの結果を残したシュールレはドイツにとって貴重な存在となった。

ポドルスキ 1試合スタメン出場。1試合途中出場。6.0
元々感情的だったポドルスキもクローゼに次ぐキャップ数3位ベテランになり、自分の立場を受け入れ常に笑顔を絶やさないムードメーカーに。
出場はポルトガル戦終盤とアメリカ戦前半のみだが、アメリカ戦ではパワーと武器である縦の速さを見せた。
オプションとしての能力は十分にあったと思う。
出番は少なかったが盟友達を裏からサポートし続けた。
今後は通算得点単独3位と代表通算50ゴールに期待したい。

ドラクスラー 1試合途中出場。判定不可。
次代を期待されるシャルケの若き俊英もブラジル戦の終盤以外は出番なし。
ほぼ終わった試合だっただけに評価不可。
彼もまたドルトムントの若手軍団と同じく将来を期待される存在ではあるが、2列目には非常に分厚い壁が立ちはだかっている。
先輩達の壁を突き破ることが出来ればその時には世界最高の名手になれるかもしれない。

FW
クローゼ 3試合先発出場。2試合途中出場。6.5
 W杯の歴史に名前を残した生ける伝説。
間違いなく最後のW杯となる今大会。あと2点取っての更新を誰もが期待した。
アルジェリア戦まで4試合で2試合に途中出場。
ガーナ戦では交代からファーストタッチでゴールを決める。
フランス戦以降はスタメンに名を連ね、準決勝ブラジルを相手にロナウドの目の前で記録を更新して見せた。

36歳になっても決してサボることなく前線からチェイスをかけ、準決勝ではミュラーのマーカーだったルイスをブロックする「アシスト」を見せた。
マテウスの150試合は少し厳しいが、ドイツ代表最多の71ゴールはしばらくは破られそうもない。

監督
レーヴ 7.0
選手のチョイスに関していくつかの疑問はあったものの、環境に即したリスク管理やチーム状況に合わせた戦術の変更等、チームを見事にまとめ上げ、集大成となるカップを掲げる。
試合展開も確かに味方していたが厳しいグループや風邪騒動の中でもきっちり勝ち上がり、フランス戦・ブラジル戦と消耗を抑えられたのは非常に大きかった。 



総評
大会前に挙げた2つのノルマを完遂。
内容も結果も手に入れた優勝だっただけでなく、ミネイロンというおまけもついた。
何よりもフランスから南米2チームを破っての優勝は文句なし。
欧州勢は南米で勝てないというジンクスを吹き飛ばした。 

ペペが暴れたポルトガルも楽な相手ではなく、厄介だった組織的なアフリカの2チームにアメリカ。
グループGと日程的にも不利な中、難敵を打ち破ってきた。
 
次は2年後、フランスでのEURO2016
天敵だったイタリア、スペインやバルカン半島の面々と戦う試合も出てくるだろう。
ドイツサッカーの更なる発展に期待したい。