天候に恵まれたルヴァン杯決勝戦。

お互いにシーズン中の怪我で離脱した多くの選手が戻ってきて、レッドカードで出れない奈良を除けばお互いにほぼベストメンバーだったのではないかと。
試合はまさにその奈良が欠場した穴から動くことに。

開始1分足らずでエドゥアルドが飛んでくるボールの対処を誤り、抜け出した杉本が先制弾。
以前の彼なら外しそうなシーンでしたが今季の杉本はこれをきっちり決める。

先制。
ここで試合は半分決まっていたと思う。
1つ目にスコアラーが杉本だったこと。
メンタルの影響がパフォーマンスにモロに出るタイプで、ポジティブな結果は献身的なプレーが期待出来る。
実際身体を張るシーン、戻って守備で貢献するシーンが沢山見られた
2つ目にフロンターレの置かれた状況と失点の仕方。
3度の決勝での敗北、しかもいずれもノーゴールのフロンターレにとって自らのミスで生まれた失点はネガティブな記憶を思い起こさせるのに十分だったはずだ。

ここからは長い長い我慢の時間に入ることに。
カウンターを伺いつつもブロックを作りセーフティーに試合を進める。

前半一番危険なシーンはパスワークから斜めに侵入した中村憲剛のシュートシーンだった。
完全に抜け出されたがこれは枠外。

セレッソ側のビックチャンスは清武のミドルシュートのシーンだろう。
しかしこれはチョンソンリョンに阻まれる。

前半厄介だったのは三好。
松田が手を焼いており、縦への突破を繰り返されるようだと中々難しい。
ゴールライン際から侵入するシーンもあり水際で撃退している状態だった。

しかし後半何故か彼が交代する。
代わって入った長谷川は三好よりフィジカルの強いタイプで松田としては前半より幾分楽になっただろう。

逆サイドでは家長のように上手いレフティーになれるようにと14番を引き継いだ丸橋がその家長とのマッチアップ。ここの勝負はほぼ完封したと言っていい。
前の清武も含め関係の深いマッチアップは大きな見所だった。

後半になっても展開は変わらない。
崩しにかかるフロンターレとブロックを固めるセレッソ。

ただし印象として危険なシーンはそれほど無かった。
理由は明白で、LIVEトラッキングのデータによればフルタイムでのフロンターレのシュート本数16本に対して枠内は僅かに3本。(因みにセレッソはシュート6本中枠内5本)
しかも全てジンヒョンの正面。彼がファインセーブを見せる場面は特になく、守備陣の身体を張ったディフェンスの結果シュートは1つもコースを突いていない。
決定機という意味で言えばチョンソンリョンが防いだシーンの方が多かったはずだ。

フロンターレは後半30分に知念を、35分には阿部を投入。
これも結果的にはセレッソを助けた。
エウシーニョとネットは厄介な選手だったが知念は最後まで試合に入れず。
阿部はミドルシュートを打ち上げるだけだった。

尤も、30分を過ぎた辺りからフロンターレのプレー精度や判断が悪くなっていったので一概に投入された彼らの責任とは言えなかったが…。

相手が交代枠を使い終わるのを見届けたユンジョンファンがここから動く。
相手が前の枚数を増やしたことを確認すると柿谷→山村。
ラスト10分を完封する為に5バックに変更。

更に前半から身体を伸ばしてピンチの目を摘んで来た木本を山下に代える。
そしてAT。前掛かりになるフロンターレに対し松田のロングパスに抜け出した清武がゴール前に運ぶと上がってきた水沼の中継からフリーのソウザへ。
ソウザはGKを落ち着いて躱すと右に流し込んだ。

勝ちを確信させたダメ押しのゴール
正直ここで既に泣きそうだった。
セレッソサポーターの大半はもう泣いていたかもしれない。

最後の交代は丸橋→田中
この後も抜け出すシーンがあったりしつつ最後まで集中を切らさず試合終了。

2つの長居の悲劇。3度の天皇杯決勝敗退。3度の降格。色々な苦しみを超えてようやく1つ目のメジャータイトルを獲得。
今季のセレッソでルヴァンカップに出場した選手は33名に上る。この中にはレンタルでチームを離れた丸岡や清原。或いは2000年生まれの喜田や瀬古、最年長茂庭、最古参の酒本など本当に様々な選手がそれぞれの立場でチームに貢献、GLやトーナメントのホームアウェーも含め無敗。
まさにチームの総力で掴み取った優勝だった。粘り強く戦ってきたルヴァン組の戦いぶりが乗り移ったかのような決勝の内容はこの大会のセレッソを象徴するゲームだったに違いない。

残りの公式戦はリーグ3試合。そして天皇杯。
3位の死守ともう1冠が目標になる。
また明日から締め直して、残りの試合を頑張って欲しい。

余談
表彰後代わる代わるトロフィーを掲げるシーン。
最後にモリシとユンが掲げるシーンを見た時に苦しかった時間が終わった気がした。

自分にとってのアイドルだったモリシがピッチ上でタイトルを勝ち取ることは最後まで出来なかったが、それでもトロフィーを持ち上げるモリシの姿は自分に取っては非常に大きな瞬間だった。

ユンは試合後のコメントで、17年前の長居の試合について触れていた。
当時最下位だったフロンターレに敗れたことで失ったタイトル。
今ではリーグ屈指の強豪として、そして我々と同じく悲願の初タイトルに手を掛けた状態での再開。
ここで勝ち切ったことで1つ清算出来たような気がした。

勿論今の選手には関係のないことだ。
彼らは森島や西澤、大久保とは違う。
2005を経験した選手も数える程になり、優勝目前で勝負弱さを出してしまったかつてのチームと今のチームは全くの別物だろう。

幸いにして今年は他にもまだチャンスが残っている。公式戦6連勝の流れを続けたい。
集中して1つずつ。