皆さんこんばんは。
夜磐です。

昨日、日産スタジアムで横浜Fマリノス-ジュビロ磐田の試合を
見て来きたので、感想のようなものを。
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■スターティング
1

磐田のシステムは3-5-2。
今季の磐田が何度かオプション的に導入している
システムだが、問題はその人選。
前線にジェイ、アダ小林という守備しないトリオが並び、
両ウイングバックには太亮と太田という攻撃主体のコンビ。
ボランチの片割れにはこれまた攻撃力が武器の川辺。
よほどシステムがちゃんとしてないと
守れなさそうな人選。

一方の横マリは、直近のJリーグではよく見る 4-2-3-1。
試合前の時点で2ndステージ首位、明らかな格上。
磐田としては前節対戦した川崎に続いてトップクラスの
相手との対戦となった。
厳しい相手だが、勝ちたいところだ。
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■試合開始、すぐさま劣勢
立ち上がりの10分こそ拮抗したものの、
試合はすぐさま横マリが優勢に。
焦点になったのは、両ウイングバックの裏。
3バックをやる場合、どうしても両サイドの
深いエリアのケアが問題になるが、
磐田がウイングバックに守備が苦手な選手を
配置したこと、また横マリの両ウイングに
優れた突破力を備えた選手を配置したことで、
その問題が顕著になった。

右サイドは、太田の背後の広大なスペースを
パパがケアできなかったこと、左は中村太亮の
対人守備力が高くないことで、磐田のサイドは大混乱。
また、磐田の守備のまずさは別として、
磐田を崩すために横マリが持ち出してきた手法が
なかなかに鮮やかだった。
2
ウイングはボールを持って中村をつり出す。
中村が中村の背後へ。ストッパーが一人ついてく。
空いたスペースにカイケが入り込んでくる。
スライドする形で齋藤学が中央に入ってくる。

さて、こんな感じでピンチが多発した磐田だが、
横マリのフィニッシュ精度が低くてなかなか点は取られなかった。
カイケも齋藤も、いまひとつ決定力を欠く。
磐田は明らかにスターティングの人選が間違っていたので、
前半はなんとかこのまま持ちこたえて
ハーフタイムに修正できれば・・・と思っていたのだが、
現実はそんなに甘くない。

25分、見事に先制点をブチ込まれた。
きっかけは、左サイドでのパスミス。
失点シーン以前から、左サイドでボールを失って
カウンターでピンチを招くシーンが続いていたので
「危ないなー」とは思っていたのだが、
ジェイ、大井に続いて宮崎も自陣でパスミスしてしまった。
横マリが決定力を欠いたおかげで助かっていたが、
さすがに3回も見逃してくれるほど横マリも甘くはない。
左サイドを突破され、鮮やかに決められた。

失点した後も磐田はタコ殴りにされていたのだが、
相変わらず横マリが枠を外し続けたおかげで
追加点は決まらず、前半は 0-1 で終了した。

磐田としては何の収穫もない前半だったが、失点が1で
収まったことで、まだ後半やりようは残った。
しかし、2点目が決まった瞬間に試合が終わることに
変わりはない。既に追い詰められてしまった。

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■ハーフタイムの修正
このままやったら磐田は敗北必須だから
やり方変えなきゃ駄目だなーと思っていた・・・
だが、しかし!
システム的な変更はなかった。
改善策は・・・監督の叱咤激励!
ハーフタイムにいつも身体を動かしてるサブ組が
ピッチにおらずロッカールームにいたので、
何かしら重要な作戦会議をしてるのだと
思っていたのだが、まさか具体的な改善策ではなく
精神論だったとは・・・。
特にジェイとアダイウトンはめっちょ怒られたらしい。
大丈夫かよ・・・。

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■後半、足が止まる横マリ
精神的要素だけで後半に挑んだ磐田、
これは詰んだかと思いきや、
なんとそれが効いてしまった。
なんだかよくわからないが、
急に攻勢に出始めた。

試合後の監督のインタビューいわく
「横マリの足が止まった」とのことなので、
とりあえずそういうことにしておく。

見ていて感じたのは、前半よりも両ウイングバックが
高い位置を取れているな、と。
特に太田の右サイドからのアタックは磐田の生命線なので、
右サイドからの攻撃が分厚くなったのは良かったな、と。

そんな中の17分、磐田がまさかの同点ゴールをゲット。
右サイドでボールを受けた川辺がゴール前に突進、
そのままロングシュートを横マリのゴールに突き刺した。

川辺はこれがJ1での初ゴール。
磐田のJ1昇格の原動力になった昨年と比較して
今季はややトーンダウンした印象があったが、
前節のアシストと含めてだいぶ復調してきたように思う。

実は同点ゴールの直前、同じような位置で
ボールを持った川辺が、攻め上がらずにパスを選択して
しかもボールを失ってしまったシーンがあった。
それを見て、「去年はああいうところで一人で持ち上がって
決めてたんだけどな~」と少々残念な気持ちに
なっていたのだが、この試合中に良かった時の
イメージに沿ったプレーを見られて良かった。

同点ゴールが決まったあとは、
再び横マリが攻勢に。
しかし前半とは違ってシャキッとしていた磐田、
チーム全体が踏ん張り勝ち越しゴールを阻止する他、
やられっ放しでもなくチャンスも作った。
決定的なシュートを放つ機会もあったが、
横マリのGK榎本に防がれてしまった。

試合終盤には勝ち越し点を狙った横マリの一方的な
攻撃を受けるが、ゴールライン上ギリギリまで
粘って相手のシュートを阻止。
そのまま1-1で試合は終了。
磐田にとっては、首位相手に敵地で貴重な
勝点1を得る結果となった。


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以下、試合に関するトピック

■試合の感想
前半のうちに横マリが2点目を決まっていたら、
その時点で試合の結果は決していた。
磐田にとっては横マリの決定力に助けられた
部分が非常に大きく、勝点1は幸運だった。
とはいえ、後半の気迫のこもった守備や
執念の同点ゴールがなければ勝点1も
奪えなかったことを思えば、全てを運と
片付けるのは磐田への敬意に欠くというものだろう。

磐田はとにかく前半が良くなかった。
両ウイングバックの件をはじめ、
全体のバランスが崩壊していた。
例えば、パパドプーロスは単体のDFとしては
優秀だが、狭いエリアを強固に守ることが
彼の長所であって、この試合のように
広いエリアをケアするのは必ずしも得意ではない。
正直、監督の人選ミスだと思うが、
翻って現時点で磐田は選手層が厚くないので、
ある程度は歪が出るのは仕方ないかもしれない。

横マリはFWがいまひとつシャキッとしていなかった。
守備で明らかにミスマッチが発生していたこの日の
磐田相手に、ミス絡みの一点だけで留まって
しまったのは、申し訳ないが前線の職務怠慢。
先制ゴールのシーンは鮮やかだったが、
カイケはややプレーが雑で、聞いていたほどの
インパクトはなかった。
それは両ウイングも同様で、齋藤は決定的なシーンで
シュートが枠に飛ばず、マルティノスも必ずしも
対人守備が得意ではない森下に突破を防がれていた。
まぁ、この試合の森下は今季のハイライトと
言っていいくらい頑張ってはいたが。
中盤の制圧力と守備の堅固さは伺えただけに、
その点が非常にもったいないなと思った。
特にGK榎本のセービングは素晴らしかった。
GKが榎本じゃなかったら、ウチはもう一点くらい
取れてたんじゃないかと思う。同点ゴールの
シーンだけはポジショニングミスってたっぽいけど。


■志村は良いGK
この試合で志村を見るのは2度目になったが、
相変わらず彼は非常に良い。
なにがいいって、あの物怖じしない感じ。
GKには必須の「安定感オーラ」を、高卒2年目にして
備えている。なんなら八田より堂々としているのでは(笑)
一瞬も集中を切らさず状況を観察しているからこそ
前への飛び出しにも安定感があり、正確なハンドリングや
速いリスタートで攻撃にも貢献できる。
ハードウェアが未完成であるが故に、守備範囲や
セービングなどプレーだけ見れば確かにまだ未成熟な
部分はあるが、普通のGKが持ち得ない要素を
若くして持ち合わせているのは大きな魅力。
カミンスキーが復帰すればその座を譲るかもしれないが、
仮にカミンスキーの調子が上がらなかった際に
「志村がいる」と思えるのは大きな利点だろう。

八田は怪我している間に奪われてしまった第二GKの座を
手中に取り戻すことができるか。


■中村俊輔の現在地
動いてる中村俊輔を見るのは3年ぶり。
大ベテランの域に入っているものの、
そのプレーぶりを賞賛する声は未だに後を絶たない。
そんなに凄いのかと物凄く楽しみにしていたのだが、
事前にハードルを上げすぎたせいかそこまで
凄くは見えなかった。というか、むしろボールタッチは
相当劣化してしまったように見えた。
以前のように、2~3タッチするだけで
「ありゃあ巧いわ」と感じさせるほどの繊細さは、
失われてしまっている。自慢のプレースキックも
この試合は不発で、7本あったCKも全て外れた。

その一方で、明らかに以前より向上している部分がある。
トランジションの精度だ。
ボールを奪ってからの展開が恐ろしく速く、高精度。
しかもボールを奪うところから自分でやってしまう徹底振り。
以前の中村俊輔は、どちらかといえば単体で答えを出す
選手であって繋ぎの部分では巧い方ではあっても
トップレベルではないと思っていたが、大いに認識を
改めることとなった。

ハードウェアの下降に伴い厳しくはなってくると思うが、
横マリという彼に全権が与えられている現場であれば、
まだしばらくはやれそうだなという印象を持った。


■磐田サポ減った?

今季J1に昇格し、ホームではチケットを完売させたり
NACK5のアウェースタンドを全開放させたりと、
動員面では比較的健闘していた磐田だったが、
この試合ではいつものような関東力がなく、
日産のスタンドをほとんど埋めることが
できなかった。
2ndステージに入って未だに勝利なし、
調子の悪さでやや客足が鈍ったのかもしれないが、
それにしてもあの客入りは寂しい。

本日は以上です。