ヘルタ・ベルリン 0-2 ハノーファー
(44分:ブリアン、67分:清武)
http://int.soccerway.com/matches/2014/11/07/germany/bundesliga/hertha-bsc-berlin/hannover-96/1713575/

 ヘルタのホームで行われた試合だったが、ちぐはぐなヘルタと勢いのあるハノーファーという好対照さが0-2(オフサイドになった清武の幻のゴールを含めると、あわや0-3だった)という結果に表れている試合だった。
 この試合でも守備でのミスにつけこまれるシーンが何度かあったが、ヘルタはこの試合を含めたリーグ戦ここ5試合のうち、3-0で勝利した9節のハンブルガー戦以外の4試合で2失点している。7節のシュツットガルト戦ではPKを含む3ゴールで3-2となんとか勝利しているものの、次のアウェーでのシャルケ戦では0-2で敗戦しており、攻撃面で安定して点をとれているという状態とも言いがたい。
 簡単に言えば、攻撃でも守備でもムラがあり、そのせいで順位も中位から下位をさまよっているのが現時点でのヘルタというチームだ。
 守備の立て直しも課題だが、カルー、ベーレンス、原口と言った新加入の3人の外国人選手がゴールを効果的に奪えるような攻撃の組み立てができなければ、勝ち点3を継続的にとりにいくのは難しい。このままだと来季は久しぶりに2部降格という可能性もありえるだろう。
 この試合も前半こそカルーや原口がゴールに迫る決定的なシーンがあったものの、後半はハノーファーの勢いにおされ、76分には清武に素晴らしいゴールを与えてしまった。

 対して、ハノーファーは好調を維持している。6節~8節にかけて3連敗を喫してしまったが、上位のバイエルンやボルシアMG相手の負けは仕方ないと言っていい。その後9節のドルトムント戦のアウェーで奪った勝利以降、これでリーグ戦は3連勝となる。
 ホッケンハイムがケルンに敗れ、レヴァークーゼンがマインツと引き分けたことでハノーファーは順位を4位に上げた。ブンデスの中でも中堅どころのクラブとしてはこの躍進を続けたいところだろう。
 好調を維持しているのは連勝中すべてのゴールに絡んでいる清武の好調が大きな要因だが、同時に酒井宏樹も存在感を見せ始めている。昨季の後半から少しずつ出番を増やした酒井宏樹は、今シーズンはスタメンにほぼ定着し、攻撃面では清武の近い位置でプレーすることも増えている。
 はやめにプレッシャーをかけながら中盤を速く突破し、シュートチャンスを何度も作り出す。このようないまのハノーファーのスタイルは、酒井宏樹におそらく合っているのだろう。
 清武もこのチームで好調を維持すれば、アギーレ体制となった日本代表に呼ばれる日も近いはずだ。久しく代表に呼ばれていなかったフランクフルトの乾が代表復帰戦のホンジュラス戦(6-0)で2ゴールという結果を出したことで、同じブンデスリーガで戦う選手として刺激を受けたに違いない。呼ばれてないという意味では、刺激より悔しさかもしれないが。

 代表では清武がトップ下でプレーすることはほとんどなかったと思うが、トップ下として君臨する清武のチームとして機能し始めたハノーファーのサッカーは見ていて面白い。勢いで相手を制する今節のヘルタ戦のような試合もできれば、我慢して奪ったゴールを守りきったドルトムント戦のようなサッカーもできる。リーグが全然違うが、J2の湘南に近いサッカーを志向しているのかもしれない。
 上位陣の3チームであるバイエルン、ボルシアMG、ヴォルフスブルクほどの攻撃の破壊力はまだないが、ヘルタとは対照的に失点の少ないチームにもなりつつあることも好調を維持している理由の一つだろう。この順位を維持できるかどうかは、順位的には暫定で下位になっているホッケンハイムやレヴァークーゼン、あるいはシャルケのような攻撃力のあるチームと対戦したときの真価にかかっている。

 そんなところで、このゲームは両チームの今後の不安と期待を象徴するゲームだった。
 そしてこれはあえて書くことでもないかもだが、日本人選手4人が先発した試合はブンデスリーガでは初めてのことらしい。チームの中心選手になる選手が増えてきたことを、象徴していると言えるだろう。