「フットサルにおける局面打開についての素人的考察」
1、はじめに
2、アタッキングエリアでの崩しについて
3、アタッキングエリアへの侵入について
4、カウンターについて
5、まとめ



1、はじめに
この記事は日頃、個人フットサルに参加して感じたことを自分なりに分析し、文章化したものである。
本稿の執筆者である私は、サッカー部の経験がなく、現在は余暇の楽しみとして月に数える程度の球蹴りを楽しんでいる”素人”フットボーラーである。
ゆえに本稿は”競技者”向けではなく、”エンジョイ”志向の球蹴りを楽しむ人たちに向けたものである。
今回は3つの局面について、具体的なケースを提示し、その局面を分析する。
いずれのパターンも高度な技術や身体能力に依存するものではないので、明日から使える実用的な局面分析であると信じているよ?
(ご意見などはぜひコメントで頂ければ幸いである。)




2、アタッキングエリアでの崩しについて
フットサルはアタッキングエリア内での崩しで手詰まりになることが多い。
なぜなら、フットサルが狭いコートで行われるスポーツだからである。
それゆえに闇雲に動き回っていても、アタッキングエリア内でフリーになることはできない。
しかし、狭いアタッキングエリアでも1つ、2つの工夫により、ゴールに迫ることができる。
下図を見ていこう。
2
※taku=筆者 otte=友人

【局面説明】
この局面は相手を敵陣深くまで押し込んだが、一度クリアをされエリア外で筆者がセカンドボールを拾ったところである。
すでに対面の相手がいる状態であり、スライドして外すことができれば単独でのシュートも可能な位置である。
ただ、筆者は”素人”である(ここは強調したい!!)ので、出来ないプレーは選択肢から外した。
右前方の味方otteが1、2歩とDFの背後から抜け出すのが見え、右足で動き出した味方とポストの間を狙ってグラウンダのボールを蹴った。
パスに滑り込みながらのシュートが決まり、ゴール。



【局面分析】
この局面では自チームの二次攻撃であり、チーム全体がアタッキングエリア内に侵入するほど前がかりな状態である。
当然、考慮すべきリスクとしてボールロストからの”カウンター”がある。
ゴールという結果が得られるかどうかは別にしても、”やりきる”ことが求められる場面である。
一番近い左前方の味方はもっとも安全なパスコースではあるが、DFを背負っている状況にある。

ーーーーーーーーー以下、素人的思考回路による局面分析ーーーーーーーーーーーーー
左へ展開していこうにもスペースも奥行もあまりなく感じられる。
リターンパスをもらったところでどうすればいいのか、よくわからない。
細かいパスワークで攻撃を完結させるほど、足元に自信もない。
何とか手数をかけないでシュートまで行けないものなのか。
困った、、、、
そう、筆者は”素人”である(しつこい!!)


対面の相手を見るに、彼はアリバイ的な守備をしているだけで、ボールを取りに来る様子はない。
ならば、otteに向かってパスを出して簡単に攻撃を完結させてしまおう。
しかも、otteが動き出した!!
蹴るしかない。

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ゴールという結果は結果として、この局面では、otteが1、2歩とDFの背後から抜け出したことがパスという選択肢を選ぶキーになっている。
彼が元々DFの背後を取っていたこと前提を差し引いても、ちょっとしたアクションがパスの出し手側にとっては、手詰まりになった局面を打開する大きな要素になったことは事実である。

【学んだこと】
アタッキングエリアでは、手詰まりにならないために受け手側がアクションを起こして攻撃を完結させるためのきっかけを作るべきである。
そのアクションは1、2歩のアクションで良い。





3、アタッキングエリアへの侵入について
アタッキングエリアに侵入することは、相手を後退させたり、大きなチャンスを作るきっかけとなる。
また、このエリアに侵入できないとロングシュートに頼ることになる。
筆者のように非力な”素人”フットボーラーにとって、エリア外からのシュートはあまり効果的とは言えないし、個人フットサルでは遠目からバンバンシュートを打ちまくるような輩は歓迎されない。
そこで、味方と連携した崩しの方策を考えていきたい。

1

【局面説明】
敵陣に押し込んだ状態で筆者がボールをもって、ピンク色の方向へのパスを出すことを検討したが、対面のCがその方向へのパスを待っているような素振りを見せたので、左にドリブルでスライドし、Bの背後にいた味方のAが水色の方向へ動いたところにパスを通し、Aが得点した。


【局面分析】
一般的にこのようなシーンでは右サイドにボールを配給するのが、正解だと考える。
なぜなら、ドリブルでスライドしてもCを引き離してAにパスを送ることよりも、右サイドにパスを出す方が安全性が高いからである。


ーーーーーーー以下、素人的思考回路による局面分析ーーーーーーーーーー
右サイドにパスを出しても、リターンをもらいに行くところでCのプレスを受ける。
Cは右サイドへのパスを警戒しているのでそれを逆手に取りたい。
左サイドでAはBの背後にいて、Bはそのケアを全くしていない。
現在位置からAに向かってパスを出してもいいが、それではBにカットされる可能性がある。

では、自分がスライドしながらBに近づけば、どうであろうか。
Bは近づいてくる筆者とCに気を取られ、Aはさらに自由に動けるのではないか。
Aはオフザボールの意識が高い味方なので、必ずパスを引き出すアクションを動かすはずである。
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ゴールという結果が得られたのは、Bが予想以上に立ちんぼであったことや、Aの動き出しがスムーズだった側面はあったものの概ね思惑通りの動きを各人がしたことにある。
一般的に、Cの立場になり考えてみると、スライドドリブルをされた時点でずらしに来ていることを考慮して、パスを出させないようにプレーするはずであるが、Cの守備が緩慢なこともあり、描いた通りのプレーを正確にやり遂げることができた。

このケースではAが前を向いてエリアに侵入できたことで、シュートから得点に結びついた。
これはAがボールをフリーで受けられるスペースに侵入したことや、出し手が前を向ける状態にある選手を積極的に使おうとした結果である。


【学んだこと】
アタッキングエリアへの侵入に際しては、多くの場合わずかながらピッチに奥行やスペースがあり、受け手はパスを引き出すアクションをすることが求められる。
狭いところを使わず、反対サイドにいる味方のポジショニングを確認し、相手の穴を探す。




4、カウンターについて
フットサルはカウンターすることも、されることも多いスポーツである。
ピッチが狭い上に、サッカーでいうGkはもちろん手が使える。
ボールロストは即ちカウンターの危機である。
さらにフットサルには”オフサイド”がない。

このオフサイドが無いゆえに起こりうる局面について考えてみたい。

3

【局面説明】
攻→守→攻へと目まぐるしくカウンターの応酬となった局面である。
最初の攻撃で最前線に上がっていた筆者は守備をサボり、味方のボール奪取により、再度攻撃のポジショニングをどうするかで迷っている。


【局面分析】
筆者はDFの背後にいて、パスの出し手からすると右前方にフリーでいる味方として認識される。
ただ、この場合緑色のパスコースを選択するのは得策とは言えない。
少し前の局面でDFは相手のアタッカー(筆者)が自分の背後にいることが分かっている。
(正確な位置までわかっているかは別として、、、)

それゆえ、DFはパスの出し手が誰に出そうとしているかをチラ見しで確認する。
この場合、前に出てパスの出し手にプレスをかけられれば良いが、距離がありすぎるのでパスコースを限定する判断が正しい。
DFにとって一番怖いのはオレンジ色のコースにパスを通されることであり、緑のパスコースはゴールから遠ざかるパスになるので、そちらを選択させたいと考えるのが一般的である。

そこで、アタッカーは一度ピンク色の方向にアクションを起こし、DFに緑のパスコースを意識させ、一気に内側に動き直す(グレーの動き)。
そこにパスを配給させる(オレンジのパスコース)。

これが出来ればあとはシュートするだけだ。
DFに外の動きを”目付しておく”ことで、本当に欲しいパスコースを開けさせる。
DFの基本を逆に利用する頭脳的なプレーである。

この局面、アタッカーのアクションは2回になり、これまでの項で説明した2つよりは難易度は上がる。
しかし、これが決まれば一気にフリーでのシュートチャンスとなる。
もちろん、パスの出し手側も冷静な判断が求められるが、何度も言うようにフットサルのピッチは狭い。
その中でいかにしてフリーな状況を作り出すかは重要な課題である。


【学んだこと】
DFの行動を逆手にとって一気にチャンスを作り出すには、自分自身が2回の連続したアクションを起こす必要があるが、その効果は大きなチャンスをもたらす。


5、まとめ
3つの局面を例に挙げながら、それぞれを分析してみた中でわかったことは、フットサルの局面打開にはそれぞれの局面に応じたアクションの質を変えていく必要があることだ。
それは狭い局面では、わずか1、2歩程度だが、ゴールから遠ざかり、使えるスペースが多く存在しているときは
どんどん増え、動きも大きな動きになる。
また、いずれの場合もなぜその崩しでゴールに迫ることができたのかという結果を分析することで、次回以降のフットサルで「最終的なゴールの形」を意識したプレーができるようになるのではないだろうか。


とはいっても、素人フットボーラーの筆者にとってみれば、冷静にプレーするためにはもっと球蹴りとして基本的な部分が今少し足りていない気もするわけで、まずは基礎練習をしろとお叱りを受けることになるだろう。