皆さんお久しぶりです。
夜磐です。

久々の投稿であると同時に、Twitter の方でも全然発言をしないので、
こいつはなにをやっているんだ?そもそも生きているのか?」と
懐疑的な視線を向けられていたかも知れませんが、
しっかりと生きております。
ご安心ください、というべきか、残念でしたというべきかは判断に困りますけれど(笑)


さて今回は、名波さんの磐田監督就任について、
自分が思っていることを書いていこうと思います。


まず最初に、今回の監督交代劇についての率直な感想を言います。
自殺行為です。

J2残り9試合、昇格に向けていろんなチームが勢いをつけてくる中で
短期間で結果を出すというミッションを、監督経験どころか特定のチームでの
指導経験すらない人に任せる
という選択に、勝算などありません。
確かに磐田は現在プレーオフ圏内にいますが、
この先一度も勝てなければその圏内からも簡単に滑り落ちます。
いくら名波さんが、引退後も常に磐田の試合をチェックしており、
選手からもチームの状態を聞いていたとはいえ、
実際に改善できるか否かは全くわからない話。
無謀な理想を押し付けているようにしか思えません。

そもそも、シャムスカ監督を解任するという選択に至るのが遅すぎます。
前半戦が終わった時点で磐田は自動昇格圏にいました。
しかして試合内容は目を覆いたくなるほど酷いもので、
何故2位につけていられるのかわからないものでした。

具体的に言うと、チームとしての規則がまるで存在しなかったのが
チームとしての戦い方を非常に拙いものとしていました。
どう攻撃するかという攻撃パターンが存在せず、守りの規則もなく、
ダラダラとパスを回しては奪われて失点するという悪循環。
一番の問題だったのは「カウンターを打てない」という欠点でした。
ボールを奪った後の規則がないために、奪った瞬間に攻撃方法を考え始め、
あれこれやってるうちに相手に戻られるか、簡単に奪われるかのどちらか。
カウンターがないのであれば相手もノーリスクで攻めてこられます。
終盤の失点が多いのは、メンタルでもなんでもなく、チームの仕組みとして
全員攻撃を受けたら対応策が無いという致命的な構造欠陥故のものでした。

自分は今季、磐田の試合を見ていて「磐田が何をしたいのかわからない」と
ずっと思ってきました。しかしてそれは自分がサッカー経験のない素人だからであって、
実際にはちゃんと戦術があり、それが上手くうまくいっていないだけだと。
そうでなければ、解任されない理由がまったくわからなかったからです。
実際、今月の頭の岡山戦で始めて組織的な攻撃の片鱗を見ました。
「ああ、少しずつ形になっていくんだな。ゆっくり見守るしかないんだな」と思い、
チームに厳しい要求をするのをやめて、生暖かく見守っていました。

しかし、それは勘違いではなかったのです。
名波さんの就任会見で、明らかになってしまいました。
やっているサッカーがこういうサッカーという形が見えない」と。
そんな状態で磐田は、6ヶ月も戦ってしまったのです。

今季中の解任という選択肢が存在するのであれば、
結果が出なくなった時点で、詳しく言えば福岡に負けた時点で解任に踏み切るべきでした。
そうすれば、終盤に向けて少しでも積み上げのある状態で挑むことが出来ました。

今回の監督交代劇について自殺行為と評しましたが、
それはこの交代劇のみを指して言っているものではありません。
シャムスカ監督をここまで引っ張ったことも含めて、自殺行為と言っているのです。

加えて、名波さんを監督に擁立するのは非常にリスキーな選択です。
失敗したときに失うものが、非常に大きいのです。
黄金期の象徴である名波さんは、引退して6年経った現在でも
ジュビロ磐田というチームに大きな影響を与え続けています。
ジュビロ磐田が最も効率よく観客を集められるコンテンツは未だに「名波浩」であり、
その発言、一挙手一投足に磐田サポーターの多くが注目し続けています。
チームの再建に失敗し解任となった場合、この「ドル箱」を失ってしまうのです。
少なくとも、この失敗濃厚な選択に叩き込んでいい存在ではありません。

仮に、万が一名波さんに神の如き指導力が備わっていて、
昇格を果たしたとしても、それは何の勝算もない計画に降って沸いた幸運でしかありません。
冷静に事象を評価した場合、今回の選択は「最悪」以外にどう評したらいいのか、
自分には言葉がありません。


どこまで無様に落ちていくのか。
磐田の暗黒の未来を予感させる監督交代劇であることを、今ここに記しておきます。






・・・と、ここまでが他所から見た時の意見。
そりゃそうですよね。こんな、勝算がなさ過ぎてギャンブルにすら
なっていない自殺行為。褒められたもんじゃありません。

しかしですね、どんなに浅はかでどんなに間違った選択であったとしても、
これまで長年磐田の試合を見てきたものとして、過去に多くの歓喜を貰った者として、
この名波さんがチームを栄光に導いてくれることを願わずにいられないのです。

前述の通り、どれだけ身勝手な希望なのかは自覚しています。
でも、決まったことにどれだけ文句を言っても仕方ないんです。
何故なら、誰が何を言ってもこの決定が覆ることはなく、
磐田がこの先、名波監督の指揮の下で戦っていかなければいけないことは、
どうしようもない現実なのですから。

それに、これはあくまで個人的なことなのですが、再び名波さんと共に戦えることに関して、
決して小さくはない喜びもあります。
自分がサッカーに、ジュビロ磐田に多くの時間を費やすようになったきっかけは、
名波さんでした。12年前、名波さんのプレーにより生まれて初めて
「感動で言葉が出ない」という体験をして、追いかけ始めてからは華麗なプレーの
数々に酔いしれ、磐田を離れた後も試合を見に行って、
引退セレモニーでの「もう右膝はボロボロです」という言葉をスタジアムで聞いて
涙が止まらなくなって、1年後の引退試合で最高に楽しい思い出を貰って。
自分にとっての「サッカー」は、常に名波さんと共にありました。
そんな、原点にして最高の憧れと呼べる存在と、再び同じチームで戦うことができるのは、
シチュエーションを抜きにすれば、極上のモチベーションです。

散々文句を言ってきましたが、成功する確証がないのと同じように、
「100%失敗する」という証左も存在していない
のです。
だとしたら、チームを外から見続けている自分達が今するべきなのは、
少しでも選手達が戦いやすいように、また名波さんが少しでも仕事をしやすくなるように、
批判の声を抑えて共に歩む意思を露にすること以外にありません。

成功を願う自分を、人は馬鹿で阿呆なロマンチストと言うでしょう。
それでも俺は、わずかな希望の全てを輝きに変えたいので、
けなげなその光に夢を託そうと思います。
これはもう、予想や予測ではありません。
何の根拠もない、身勝手な願いです。

引退セレモニーで、名波さんは言いました。
「このヤマハスタジアムに帰ってきて、サックスブルーのユニフォームを
常に常勝軍団に導けるように、たくさん勉強してまたこの磐田の地に
戻って来たいと思います。」

あれから6年。
解説の仕事やイベントで、ヤマハスタジアムに来る事は何度もあったでしょう。
でも、本当の意味での帰還は、今この時であるように思います。

課されたのは奇跡。その奇跡が起きますように。
そして行く行くは、奇跡などではなく実力で勝てるチームになりますように。

約束の時は今。
蘇れ、ジュビロ磐田。名波浩と共に。


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俺たちはまだ、死んでない。