SC相模原を今期ホーム7戦しか見ていないトンデモにわかが、
チーム分析をしてみようと思うので、暇な人は見てください。


J3リーグのザ・中位に位置するSC相模原。
破竹の勢いでJFLまで上り詰めた彼らがJ3初年度をどのような布陣で、
どうのようなサッカーをしているのか、断片的ではあるが、語っていきたい。


そのSC相模原だが、絶対的なビッグネーム 高原がいるので、チーム名を知っている人も多いと思う。
しかし、実際にギオンスタジアムや各地アウェーで生のSC相模原を見たことがある、
という人はまだまだ多くないのではないだろうか。
そもそも、J3はリーグ全体として、まだまだメディア露出度が低く、特に試合分析をした記事や
参考になる動画が少ない。
だから、J3サポーターはサポートするチームのサッカーを現地観戦する以外にその詳細な情報を知る術がほとんどないのが現状だ。


ピッチ上で起こるサッカーをどう解釈するか、それはその人の観戦力や志向するサッカーの違いで、
右ということも、左ということもある。
なので、これからお読みいただく内容は、そんな1つのSC相模原を見た感想文程度に
軽い気持ちでみて欲しい。



先日の試合は、おしくもFC町田ゼルビアに負けてしまったが、
多くのサポーターや現地で観戦した人はこう思ったかもしれない。
「前半の相模原のサッカーは良かったぞ?」と。



この試合では、高原が欠場し、最近ベンチスタートだった菅野がスタメンに復帰していた。
彼らの戦い方を見ていこう。



まずはスタメン選手たちを簡単に紹介しよう。
最前線が188cmの服部で、その下にスピードとドリブルが特徴の曽我部(時に2トップ)、
右サイドに足元がうまく、守備の寄せも早い三幸。
左サイドにドリブルがうまい菅野。
ビルドアップ時のボールをはたく佐野。
守備専門の北原。
本職CBの桝田がLSB。
(全ての画像で桝田の字が間違っていることに気が付いた、、、ごめんなさい)
バランスをとるRSB寺田。
肉体派CBコンビ。
反応の良さが光るGK佐藤。


myboard


SC相模原のサッカーはわかりやすい。
図2にあるように、中央(白い楕円)でのエリアの人口密集度が高いので、
ここで北原や佐野が相手をプレスの網にかけて、
速度のあるカウンターを繰り出すことができていた。


特筆すべき選手は2人、菅野と曽我部だ。


右利きの菅野は服部にボールが入れば中へ入って絡もうとすることもできるし、
曽我部とポジションを変えながら相手のバイタルを攻めることもできる。
本来はドリブラーではあるが、ワンタッチで逆サイドに叩くなど、
展開の早さや効率を取るプレーも多く、キャラクターが被りがちの
曽我部とピッチ上での差異を作り出していた。


その曽我部は服部と並ぶこともあれば、菅野と入れ替わるシーンもあり、
ショートカウンターからフィニッシュまで一気に迫る早いプレーの選択も多かった。
得点を奪えれば文句なしだったが、そこに至らなかった点はフィニッシュワークへのアプローチを含め、
彼の課題だろう。



この2人がボールをもって前を向ければ、SC相模原は高確率でペナルティエリアに侵入することができていた。
また、フィニッシュに至る回数も格段に増えることになるので、彼らをどのように90分の試合の中でマネジメントしていくかは重要な攻撃のポイントである。
しかし、その一方で彼らはその攻撃的な特徴ゆえに守備面では多くを期待することができない。
足の速さを生かしたプレスは良いとしても、後ろからのプッシュアップなしに彼らが闇雲に相手を追いかけるようなことはないし、また出来もしない。
攻撃は最大の防御という格言の通り、シュートで終わるカウンターを繰り出すこと。
つまり、中盤の構成力を上げて、密集度を高める初期設定をすることで、
彼らのプレスにかける負担を最小限に留める。
これが彼らを生かす最善の守備戦術であり、攻撃への布石なのだ。



服部と曽我部がコースを限定し、三幸と菅野で横から縦へのボールの逃がしどころをふさぎ、
佐野や北原が早く、強く押し上げることで中盤でのボール奪取力を上げる。
これが図2のゼルビア戦で木村監督が描いた戦い方だった思われる。
実際、この戦い方で前半に多くのチャンスを生み出した。
高原の欠場で、前線でのキープする力が低下したが、中盤の構成力を上げて戦う戦術のお手本のような采配。



攻撃について補足するならば、
まずはRSBの寺田。
LSBの桝田に攻撃はほとんど期待できないので、彼が前にいる三幸をどれだけサポートできるは重要なポイントである。
また、彼が上がる状況が整えば、佐野がシンプルに右サイドを使うこともできるので、今よりさらに前方で人数をかけた攻めを実現できることになる。
先日のゼルビア戦を見ると、後半にクオリティが著しく低下したので、必ずしも彼がRSBである必要もない。
攻撃に厚みを持たせるRSBの攻撃参加、これは小澤退団後解決していない。
SC相模原のサッカーがが抱える課題であるSBの攻撃、寺田が化けるか、
それとも他の選手が台頭するのか、注目していきたい。

次に6人目のMFの登場である。
高原不在のゼルビア戦は中盤5枚を投入したスタメンであったが、
これはSC相模原の現有戦力の最強メンツであり、近頃ジョーカーで使われていた菅野に代わる選手がベンチにいないという点が気になる。
具体的にいえば、ゲームメイクに秀でた選手やドリブラーといった、攻撃に特徴のある6人目の登場があれば試合後半の戦い方に選択肢が広がる。
以前見た神田くんは三幸と同じくテクニックがありタイプで、選択肢の1つに入ってくるだろう。
他には誰が6人目候補だろうか、詳しいサポーターの方にぜひ聞いてみたいところだ。




守備におけるポイントは攻撃の裏返しである。
中盤の構成力をあげるのが攻撃のポイントであれば、守備のポイントはその中盤全体の距離感である。
互いの距離を近く保てば、中盤は非常に近い距離でお互いがスペースと、そこに侵入してくる相手を捕まえることができる。
では、DFたちはその中盤とどういった距離関係にあるのだろうか。

おそらくスタンダードな設定は、両CBは中盤の行うプレスにそれぞれ参加することもあるが、
基本的に両名とも”前方の対人と向かってくるクロスには強い”特徴があるので、
少し低い位置取りを取っている。
両名とも相手FWとのよーいドン!!でのかけっこは苦手なので、CBはしばしばその前方にあるスペース(B)で相手選手に自由にボールを持たせてしまっている。
つまり、中盤のプレスが何らかの理由で機能しない局面では簡単にシュートまで行かれてしまう。
またLSBの桝田は前のサイドアタッカーとの距離感が常に離れていて、その動きは自重気味である。
よって、しばしば彼は自分の前方のエリア(A)で相手に時間とスペースを与えてしまい、アタッキングサードへ前を向いて侵入させてしまっていた。



3


され、高原がいるときはどうなのだろうか。
パルセイロ戦を参考に、木村監督の意図を図3に落とし込んでみた。


服部は高原よりも前に位置取ることが多く、服部にマークが集中すれば、
逆に高原にボールを収めて、落としたボールをみゆきや曽我部、佐野が使うことが設計されている。
繊細なビルドアップが出来ない両CBからすれば、2枚の前線に向かって蹴り込めばイイので、
セーフティファーストが取りやすく、気が楽。
一方で、服部や高原に収まらない、セカンドを拾われる展開になると、
カウンターを受け続け、三幸や佐野、曽我部は守備に走らされ、
ボール奪取の位置がディフェンスサードになり、早い展開へ持ち込むことが難しい。
ある程度割り切ったサッカーをする上では効果を発揮するサッカーだ。
また、菅野をベンチに落とすことで交代で菅野を入れてカウンター重視のサッカーに変更も可能である。
攻撃では相手が待ち構えているところに攻め込むことになり、
手間と手数を必要とする戦い方でもある。



ただ、一方で高原の飛びぬけたポストワークによって、もたらせる効果は多く、
左サイドの三幸へ落としたボールを逆サイドの曽我部に展開(黄色の矢印)から、
縦に持ち込み、折り返しに3枚で詰める流れが確立できれば、間違いなく2~3回で1点は取れるシステム化させることができるだろう。
三幸のパス精度、曽我部の縦への突破力、高原、服部の2トップを生かすにはもってこいのやり方で、パルセイロ戦でもこのサイドチェンジが何度か見られた。



三幸は前述のサイドチェンジ以外にも時間を作るドリブルキープが出来る選手である。
彼を生かすにはLSBの早めのフォローが重要であるが、実際のところ相模原のLSBは三幸の欲しいタイミングでフォローをすることができていない。
理想としてはコンビネーションでサイドの奥行きを作り、クロスで折り返せればいいのだが、今のところそうした形はあまり見られない。
これはSBの選手に課題があるのだが、両CBがSBを押し上げるような仕組みを確立できていないのも1つの要因である。
昨シーズンでは、佐野ちゃんがCBの間に降りる高度なポジションロールも行っていたが、今シーズンはそれは見られない。
現在はCBがあくまで互いの距離感を維持するビルドアップのボール回しをしており、変化に乏しい。
さらにパス回しが単調であるゆえに相手にプレスの機会を与えて、ボールロストすることもある。
せめて両SBが少し持ち出して、服部や高原にボールを放り込むことができればより良くなるのだが、、、、




5

尻切れトンボな感じではあるが、このようにスタジアムで見たまま、感じたままを文章に起こしてみた。
褒めるよりは揚げ足取りな感が否めないが、J3のチームでこういった記事を書いている人は、
そう多くなさそうである。
需要があれば今後も見に行ったおりには、記事にしたいと思う。